西洋薬

近年、西洋医学は、さらに専門化・高度化が進んでいます。一方で、高齢化は急速に進み、複数の疾患を抱える患者さんが増えています。なおかつ、高齢の方の病気は、加齢によるものが多いので根治は難しく、鎮痛剤などの対症療法が主体となります。 そのため、症状の数だけ薬が必要となり、膨大な量の薬を内服し、なおかつほとんどよくなっていないばかりか、薬の副作用に悩むことにもなりかねません(当院の漢方著効例15の709参照)。 そして、一番の問題点は、専門化・細分化が進むあまり、複数の医者にかかっているにも関わらず、全体像を把握する役目の医者がいないことです。

一方、漢方診療ではひとりひとりの体質、体調、症状などを総合的に判断し、診察の時点での最もその人にあった漢方薬を処方します。
西洋医学的に同じ病気の人が何人かいたとすると、西洋医学では処方する薬はどなたにもほぼ同じ内容のものですが、漢方では個人個人の体調や体質にあわせ、人によって異なる漢方薬が処方されます 漢方の方が、西洋医学に比べてより患者様の個性を重視した医療と言えます。
そのため、漢方処方の適応症をみてみると西洋医学的にはまったく結びつかないような疾患名が連なっていることがよくあります(例:越婢加朮湯‥腎炎・ネフローゼ・脚気・関節リウマチ・夜尿症・湿疹)。これは東洋医学が「病名を診断」するのではなく、「状態を診断」するものだからです。

ただし、西洋医学と漢方医学にはそれぞれの良さがあり、得意とする分野、不得意とする分野があります。ですから、どちらか一方の医学に頼るのではなく、必要に応じて、西洋医学の治療を受けたり、漢方治療を取り入れたり、あるいは両方とも併用すればいいと思います。

当院では西洋医学と漢方診療は対立するものではなく、お互いに補い合うものであるとの考えのもと、これらを組み合わせてより患者様個人個人にあった医療を提供していきます。

 

右の書は、私が「日本一の漢方医」と信じて疑わない下田 憲先生(北海道南富良野町)のものです。

患者さん第一の先生で、それが書にもあらわれています。先生には漢方についてたくさんのことを教えていただきました。今の私があるのは先生のおかげです。

下田 憲先生のホームページはこちらです。

下田憲先生の書