西洋医学とは心と体を分け、体を細かい部分(内臓別)の集合体と考え、病気になった場合はその部品、つまり個別の内臓や細胞の病因を究明し治療する医学です。
これとは対照的に、東洋医学はまず心と体は分けずに一つの集合体と考え(心身一如:しんしんいちにょ)、心を含む全身のバランスを整え、体質を改善して病気を治療していきす。
西洋医学の場合は、病気の機序や原因が明確になってはじめて治療ができるので、原因不明の場合は対症療法のみを延々と続けるしかありません。
漢方では全く別の観点から治療できますので、思わぬ効果が出ることがあります。
つまり漢方を併用することで、もう一手打てるのです。
また原因はわかっていても、西洋医学に適切な治療方法がないという場合も、漢方が有効になります。
漢方で治療する対象は、内科のみならず、小児科・アレルギー疾患(花粉症、気管支喘息など)・耳鼻咽喉科・皮膚科・心療内科・慢性疼痛(整形疾患、神経痛など)・不妊・月経不順・更年期障害を中心とする産婦人科なども含まれています。
1976年(昭和51 年)に漢方医療に保険が適応され、それから長い年月が経過していますが、いまだに「漢方薬は保険が利かない」と思っている方がいらっしゃいます。当クリニックでは、漢方的診断(西洋医学的診断もあわせて)の後、保険適応のエキス剤で治療をおこないます。ツムラを中心に、クラシエ、コタロー、三和などの、約120種のエキス漢方製剤が揃っており、ほとんどの疾患に対応できます。
漢方治療は医師でも的確な診断は難しく、まして身体を診ずして投薬したり処方したりしては効果は絶対に得られません。 「簡単そうだから試してみよう。」といった自己判断で安易に試してはいけません。また、状態に合わない漢方を服薬することは、効果を現す”薬”にならず、下手すればさらに体調を悪くする”毒”にもなりかねませんので注意が必要です。
現代人の生活はバランスが悪すぎるのです。
冷暖房を効かせた人工的な環境で、”冬でも冷たいものを飲む”といった不自然な生活をしているため、本来体に備わっている調節力をなくしています。ですから、まず自然の感性を取り戻すことが大切です。
薬を出すだけでなく、生活指導を重視するのも漢方診療の特徴です。体を動かして血の巡りをよくし、暑さ寒さを肌で感じるような生活を心がければ、使う薬の数はきっと減るはずです。