701.血小板減少症の漢方治療

症例は26歳、女性です。
平成29年8月、姫路市内の総合病院で血小板減少症と診断されました。数値は6.3万(正常値は14~44万)でした。主治医からは、「治療法はない。血小板数が3万を切るまでは、毎月採血して経過観察をする。」といわれたそうです。9月の採血では、数値は6.1万と若干減少したそうです。平成29年9月27 日、当院のホームページをみて、漢方治療を求めて姫路市から来院されました。
身長152.0cm、体重47kg、BMI20.3。
他の症状として、立ちくらみ・手足の冷え・青あざができやすいなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
「気虚」+「血虚」の改善薬である十全大補湯(じゅうぜんたいほとう;症例69、509参照) を一ヶ月分処方したところ、10月28日に来られ、「今月は数値が、13.8万に増えていました。」といわれました。また主治医からは、「また減るかもしれないので、引き続いて経過は追います。」といわれたそうです。

こちらがびっくりするくらい増加しており、私もうれしかったです。

漢方がお役に立ててよかったです。

 

血小板減少症には、加味帰脾湯や十全大補湯をよく使います。加味帰脾湯の症例はこちらを参照

血小板減少症については、こちらをクリック画像の説明MSD

702.夜が怖くて眠れないの漢方治療

症例は68歳、男性です。高血圧症・高コレステロール血症で普段通院中の患者さんです。
平成29年10月19 日に来院されたときに、次のように語られました。

首の後ろが憂鬱な感じがし、脳外科を受診し、頭部CT検査等を受けられましたが、「特に異常なし。」といわれたそうです。次に整形外科も受診されましたが、やはり、「異常なし。」といわれました。
とにかく、夜が怖くて眠れないそうです。普段からハルシオン0.25mg1錠をのんでおられますが、それをのんでも早く目がさめてしまうそうです。血圧は126/64mmHgと正常でした。
身長159.7cm、体重71.4kg、BMI28.0と肥満を認めます。
半夏厚朴湯(はんげこうぼうとう;症例64、102、103、373、591参照)を処方したところ、11月5日に来られ、「全く不安がなくなり、夜もよく眠れるようになりました。」といわれました。
漢方がお役に立ててよかったです。

半夏厚朴湯について(岡クリニック院長 岡 留美子先生)

「気」は常に体を巡っていますが、ストレスなどでその巡りが悪くなってしまうことがあります。気の巡りが悪くなる(気滞)と体の下部に滞ったり、上部に上がったままになったりすることがあります。
そうすると胃から上にさまざまな症状が出ることが多く、胃ならば食欲不振や吐き気など、胸のあたりでは息苦しさや食道付近の詰まり感などがあります。また、咽がふさがった感じや、かぜを引いているわけではないのに声がかすれたり、空咳が出たりすることがります(頻繁な咳払いも気滞と診断します)。
さらには、表現のしようがない不安感や気分の落ち込み・めまい・眠れないなどといった症状が出ることもあります。
このような症状のあるときに、半夏厚朴湯を使います。

703.小児頭痛の漢方治療

症例は15歳、男児です。
平成28年4月から頭痛(特に朝方)が続くと、平成29年7月8日、姫路市から来院されました。
きっかけは、宿題に追われ、睡眠不足になったことだそうです。総合病院で頭部MRI等の検査をうけられましたが、「異常なし。」といわれたそうです。また、整体にも行かれましたが、それも効かなかったそうです。
他の症状として、下痢しやすい・汗をかきやすい・肩こり・にきび・腹痛・立ちくらみがあります。學校にもあまり行けてないそうです。
身長173cm、体重59kg。
舌は、特に異常ありませんでした。腹部触診により、胸脇苦満(きょうきょうくまん)を認めました(胸脇苦満とは、胸から脇(季肋下)にかけて充満した状態があり、押さえると抵抗と圧痛を訴える状態で、柴胡(さいこ)という生薬を含む柴胡剤を用いる重要な目標です)。また腹直筋も張っていましたので(症例39参照)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう;症例39、66、155、152、186、304、619、680参照)と啓脾湯(けいひとう;症例240、364、398、401、454、635参照))を処方したところ、8月8日に来られ、「腹痛と下痢は治りましたが、頭痛は残っています。」といわれました。さらに続けたところ、9月4日には、「頭痛が消えました。一度胸痛が起こりましたので、循環器科を受診しましたが、異常ありませんでした。」といわれました。11月11日には、「頭痛はありません。朝もきっちり起きることができて、毎日学校に行けています(来院前は1週間学校に行けなかったこともあったそうです)。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

704.耳鳴り・耳閉塞感・聴覚過敏の漢方治療

症例は53歳女性です。
耳のふさがった感じ・耳鳴り・聴覚過敏・動悸・めまい・不眠等の症状があり、漢方治療を求めて、平成29年10月18日に揖保川町から来院されました。
身長152cm、体重51.6kg、BMI22.3。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。また色が紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、枝分かれし、「瘀血(おけつ)」体質を認めました。
加味帰脾湯(かみきひとう;症例45、193、239、291、308参照;加味帰脾湯の人は、ちょっと五臓の「脾」が衰えていて(脾虚体質;症例97参照)、軽いうつがある人に使います))を処方したところ、11月29日に来られ、「耳の症状はとれました。ただ薬を飲むのを忘れると症状が出ます。よく眠れますし、動悸もありません。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

同じような症例を、症例409、510に載せております。

 

705.非結核性抗酸菌症の漢方治療(6)

次の症例は71歳、女性です。
元々逆流性食道炎や骨粗鬆症などで当院通院中の患者さんです。
平成26年度秋の肺癌健診で”右肺野の孤立病巣”を指摘され、CT検査を施行したところ、「右中葉や左舌区及び右下葉S8等にtree-in-bud appearanceやair-space fillingが認められ、肺MAC症などが考えられる。」との診断であったため、平成27年7月、総合病院呼吸器内科受診したところ、気管支鏡の検査で、M.intracellulareによる非結核性抗酸菌症と診断されました。しかし、患者さんが、副作用等から治療に消極的で何も治療を受けずに帰ってこられました。主治医からは、「病変が悪化するようならRECAM療法(リファンピシン+エタンブトール+クラリスロマイシンの3剤併用治療:アールイーカムと呼ぶ)を再検討します。」とのことでした。
元々薬の副作用の出やすい方で、今まで、抗生剤(クラビット、フロモックス)や喘息の薬(シングレア)で湿疹がでたり、漢方薬を含め、色々な薬で下痢をしたりしたため、薬をあまり飲みたくないようです。
身長143.9cm、体重38.8kg、BMI18.7。
そのまま、未治療で様子をみることにしたところ、平成28年4月6日の胸部X線写真では変化ありませんでしたが、半年後の10月21日の胸部X線写真で悪化が見られたため、11月19日から、本人は乗り気ではありませんでしたが、非結核性抗酸菌症によく使う、人参養栄湯(にんじんようえいとう)を開始しました。しかし、平成29年5月8日の胸部X線写真ではさらに悪化が見られたため(症状も咳が増えた)、六君子湯(りっくんしとう;症例97参照))を合わせて処方した(下痢しやすく、食も細いため補中益気湯よりこちらを選択)ところ、11月27日の胸部X線写真では改善し、咳もほとんどでなくなりました。

調子いいので、このまま薬を続けていく予定です。

非結核性抗酸菌症は、人参養栄湯や補中益気湯単独で治療できる方もおられますが、補剤(漢方は、足りないものを補い、過剰なものは抑えることで正常な身体のバランスをとることを基本としますが、補剤はこの中で、心身のエネルギーが衰えて精神的・身体的な能力が減少しているような場合にその衰えた部分を補充する働きをする漢方薬を意味します。つまり”足りないものを補う漢方薬”の総称です)同士を合わせないとだめな方もおられます。

写真はそれぞれ、上から、平成28年4月6日、平成28年10月21日、平成29年5月8日、平成29年11月27日です。

その後、平成30年5月14日に胸部X線写真と採血を行いましたが、写真は前回とかわらず、採血では白血球数7200、CRP(炎症反応)0.14と全く異常ありませんでした。もちろん咳、痰もありません。

706.二人目不妊の漢方治療

症例は25歳、女性です。
子供さんが1人おられます。2年前に流産してから、二人目ができないため、平成29年10月10日、漢方治療を求めて受診されました。
他の症状として、頭痛・肩こり・手足の冷えがあります。
身長163cm、体重59kg、BMI22.2。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14参照)を処方したところ、11月7日に来られ、「頭痛・肩こりが治りました。」といわれました。12月8日に来られた時には、「一ヶ月前から夜間に咳がでるようになりました。」といわれましたので、喘息の吸入薬のレルベアを処方させていただきました。平成30年1月18日に来られた時に、「おかげさまで、二人目が授かりました。」といわれました。
当帰芍薬散はそのまま続けていただくこととしました。
二人目不妊については、症例660にも載せております。

漢方がお役に立ててよかったです。

707. 起立性調節障害の漢方治療

症例は12歳女児です。
朝に吐き気と頭痛がして学校に行けなくなり、平成29年10月16日、小児科を受診したところ、起立性調節障害と診断され、メトリジン(ミドドリン塩酸塩)2mgを処方されましたが、知人に、漢方治療の方がよいとすすめられ、平成29年10月20日、たつの市から当院へ来院されました。
身長153.5cm、体重54kg
他の症状として、朝ごはんが食べられない・にきび・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・のぼせやすい・めまい・立ちくらみ・手足の冷え・気分が沈む・生理痛・生理の出血量が多いなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
六君子湯(りっくんしとう;症例97参照)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14参照)を合わせて一ヶ月分処方し、11月15日に来られましたが、特に変化はありませんでした。次に11月29日に来られ、「1週間前から頭痛・肩こり・嘔吐があり、朝ご飯が食べれず、ランドセルが重い。」といわれましたので、葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう;症例12参照)を2週間分処方したところ、12月18日に来られ、「調子いいです。学校で保健室に行かなくてよくなりました。しかし、まだ朝ご飯はたべられません。」といわれました。次に1月31日に来られた時には、「朝ご飯が食べられるようになりました。」といわれました。3月9日には、「今までは、朝私が、車で学校まで送っていましたが、自分で歩いて学校に行くことが出来るようになりました。」とおかあさんがいわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

708. COPDの漢方治療

症例は80歳、男性です。
COPDとアルコール性肝障害で、近くの総合病院内科に通院されています(薬は気管支拡張剤の吸入薬と降圧剤をもらわれています)。数年前に禁煙し、お酒は、ビールを毎日5・6本飲んでいましたが、1ヶ月前からそれも飲めなくなったそうです。
最近、息切れ・動悸・食欲不振があり、平成29年9月9日、岡山県玉野市から当院へ来院されました。
身長160.0cm、体重55kg、BMI21.5

他の症状として、便秘・胃もたれ・足やまぶたがはれる・息が吸いにくい・息切れ・体がだるい・疲れやすい・夜中に目がさめるなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
人参養栄湯(にんじんようえいとう)を開始したところ、9月27日に家人から、「肺炎で入院していました。」と連絡がありました。10月2日には、「少しずつ、元気がでてきています。」といわれました。11月6日には、「ごはんがおいしく、主治医にそれ以上体重を増やさないようにといわれた。」といわれました。12月4日には、「とても調子いいです。」といわれました。平成30年1月13日には、「一度かぜをひきました。」といわれました。
 3月13日には、「とても調子いいです。」といわれました。

人参養栄湯は、食欲亢進、認知機能改善、抗疲労、抗うつ、骨格筋強化、骨量増加の作用があり、フレイルこちらを参照)に有用とされています

鹿児島大学の乾明夫先生は、「高齢化の進む我が国において、予防医学の立場から注目されているのが、サルコペニア(骨格筋萎縮)を基礎としたフレイルである。フレイルは漢方で言う未病病態であり、フレイルを予防、加療することによる健康寿命の延長が愁眉の課題になっている。フレイルは人参養栄湯などの補剤の良い適応であり、多成分系を特徴とする漢方は、多様な身体疾患や食欲不振・不安・抑うつ・認知など、心身両面の異常を示すフレイルの治療に威力を発揮するものと期待される。」といわれています。

採血のデータを示します。栄養状態を示す、総蛋白・アルブミン・総コレステロール値が改善し、貧血もよくなっています。このまま続けていただく予定です。
なお、アルブミンは半減期が20日程度と比較的長いため、長期的な視点での栄養評価に向いており、3.5g/dl未満が低栄養の指標となるとされています。

 

2017.6.9 2017.10.31 2017.12.19 2018.2.13
総蛋白 6.5 6.7 7.0 7.2
アルブミン 3.7 4.1 4.2 4.2
GOT 60 38 39 33
GPT 25 15 16 11
γGTP 21 12 11 12
総コレステロール 108 122 118 130
コリンエステラーゼ 154 160 145 155
白血球 6800 8300 7300 8200
赤血球 357 350 361 375
ヘモグロビン 11.9 11.7 11.8 12.1
ヘマトクリット 35.3 35.0 35.3 36.6

 

709. 右季肋部から上部や背部に放散する疼痛の漢方治療

症例は80歳、男性です。
平成29年2月18日、肺に水がたまり(原因不明だそうです)、総合病院内科で治療をうけましたが、その後も、血圧が異常に低く(70代/40代)、手足が冷え、体もだるいため漢方治療を求めて、3月18日、来院されました。
身長169.0cm、体重62kg、BMI21.7 
他の症状として、頻尿・夜間尿・夜間の咳・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・耳鳴り・めまい・立ちくらみ・手足の冷え・気分が沈む・夜中に目がさめる・眠りが浅いなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。

人参養栄湯(にんじんようえいとう)
と、八味地黄丸(はちみじおうがん;症例42、58参照)を朝・夕に、五苓散(ごれいさん;症例196参照)を眠前に1回投与しました。
また、鉄欠乏性貧血もあるため、6月7日より、フェロミアを追加しました。これで、状態は安定していましたが、平成30年1月8日より、右季肋部から上部や背部に放散する疼痛が出現し、総合病院ペインクリニック科を受診し、リリカ(過剰に興奮した神経から発信される痛みの信号を抑え、痛みをやわらげる薬)を投与をされましたが、痛みは取れないため、トラムセット(アセトアミノフェンと、トラマドールという麻薬に似た薬の合剤)・ロキソニン(消炎鎮痛剤)・タケキャブ(胃薬)・プルゼニド(下剤)・ノバミン(吐き気止め)に変更されましたが、痛みは変わらないどころか、徐々に体力がおちてきたため、2月24日、「漢方で何とかならないか。」と相談を受けました。当帰湯(とうきとう;症例5、71、122、255、408、534、616参照)ブシ末に変更したところ、3月22日に来られ、「痛みがすっかりとれました。」と、大変喜んでいただきました。

漢方がお役に立ててよかったです。

この症例をみてわかりますが、体力の低下した80歳のお年寄りに、西洋医学は、徹底した強力な治療を行っています。タケキャブ・プルゼニド・ノバミンは、ロキソニンの副作用で胃が悪くなるのをタケキャブで防ぎ、トラムセットの副作用に、吐き気・嘔吐・便秘があるため、その副作用予防のため、ノバミン、プルゼニドがそれぞれ投与されているのでしょうが、たかが冷えによる痛みに5種類の薬が必要なのでしょうか?本当に考えさせられる症例です。

症例408にも記載しましたが、当帰湯は、体を温めるのが主たる作用で、主に冷え性の方や胃腸の弱い方に処方される漢方です。適応症として肋間神経痛が明記されており、疼痛にもよいとして広く知られた処方です。

ロキソニンなどの消炎鎮痛剤についての下田先生のコメントはこちらを参照下さい。

710. 感謝のお礼状をいただいた症例

症例は42歳、女性です。
昨年から、吐き気・胸やけと、頻繁にかぜを引き、なかなか治らない、冷え症、花粉症などがあり、ホームページをみて、平成29年3月17日、広島県尾道市から当院へ来院されました。
身長157.0cm、体重45kg、BMI18.3
他の症状として、胃もたれ・のどが痞えるなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。また地図状舌もみとめました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97参照)コウジン末(;症例449参照)を合わせて一ヶ月分処方し、遠方なのでその後は近くの医院で処方をつづけていただきました。
その後、クリスマスにお礼のカードをいただきました。
了解を得て、全文掲載させていただきます(以下原文のとおり)。

お礼状
寒さも日増しに増します今日この頃、先生におかれましては、ご多忙の日々をお過ごしと存じます。
今年の春、先生に大変親切で丁寧な診察を頂きました。
その節は本当にありがとうございました。結果この一年元気に過ごすことが出来、これも全て先生のおかげと感謝しております。
先生がサイトで詳しく症例を掲載して下さったおかげで自分と類似した患者さんの写真を見つけ、東洋医学からのアプローチもあるのだと知る事が出来ましたし、恐らく私と同じような患者さんいらっしゃる事と存じます。
これからも先生のサイトをきっかけに私のように元気に回復される方が沢山出てくる事を願わずにおられません。
漢方がこれほどまでに即効性あるとは本当に驚きで、東洋医学の歴史の奥深さに感嘆いたしました。
昨年来の体調とは打って変わって、今年は元気で過ごせている事への感謝すると共に、改めまして厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
季節がらご多忙の事と存じますが、どうぞお体の方もご自愛いただき、ご家族様皆様で良いお正月をお迎え下さい。

患者様の笑顔と「ありがとうございます。」のお手紙、
私の何よりの励みになります。こちらこそ、元気を頂きありがとうございました。

711.非結核性抗酸菌症の漢方治療(7)

次の症例は64歳、女性です。
既往歴として59歳の時に大腸癌で手術されています。
60歳の時に非結核性抗酸菌症(肺MAC症)と診断されています。症状は空気の悪い場所で咳が出る程度だそうです。経過をみられていましたが、陰影が拡がってきたため大学病院に紹介され、平成29年10月4日からクラリスロマイシン(CAM)、リファンピシン(RFP)、エタンブトール(EB)で治療を開始されています(1~1年半続ける予定)。平成30年2月11日、主治医より、「右の下葉の陰影が一部改善している。」といわれましたが、体中に湿疹が出て、口内炎がひどく、胃は元々丈夫だったのに、食欲が全くなくなりとても薬を続けれる状態でなくなり、娘さんが当院のホームページをみられ、3月12日漢方治療を求めて豊岡市から来院されました。身長147.0cm、体重48.5kg、BMI22.4。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。人参養栄湯(にんじんようえいとう))と六君子湯(りっくんしとう;症例97参照))を合わせて処方しました。飲みだして、1週間・2週間・3週間とどんどん体調がよくなってきたため、4月2日、主治医に、「薬を休みたい(本当は中止したかったが、それは言えなかったそうです)。」と思い切って申し出たそうです。主治医に、「今やめると、今までやってきたことが水の泡になる。」といわれたそうですが、とても薬を飲む気にはなれなかったそうです。今後、陰影を追うため、通院はつづけるそうで、また経過を聞こうと思います。

近畿中央胸部疾患センターのホームページには次のように記載されています。

誰でも菌を吸い込んでいますが、病気になるヒトは極わずかです。
古い結核のあと、じん肺、肺気腫、気管支拡張など肺の中になんらかの傷あとがあるヒトが発病しやすいと考えられています。
最近肺の中に特に傷あとのない中年以降の女性に発症する肺マック症が増加していますが、その理由は不明です。
肺カンザシ症は男性の喫煙者に圧倒的に多く、また粉塵吸入の職歴をもっている方が多いのも特徴です。
肺マック症の場合、特に過労や手術後など体の抵抗力が弱った時に症状が出現し診断される事があります。

漢方的には、本性はほぼ全員、「気虚」の人、つまり体力のない人です。こんな人に、食欲のなくなるようなきつい治療は無理ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

712.犬咬傷の漢方治療

次の症例は25歳、女性(私の娘)です。
平成30年5月4日夕方、飼い犬のタロウに、靴下で遊んでいたのを取り上げようとして右手掌をかまれました。とにかく痛くて、全く手を握れない状態でした。とりあえず、水道水でよく洗浄してから、桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん;症例67参照))治打撲一方(ぢだぼくいっぽう;症例227、228、262、268、355、413,643参照)))を合わせて飲ませました。また、傷口には紫雲膏(しうんこう;症例54参照)を塗りました。
翌日5日の朝も同じ薬を飲ませましたが、とにかく痛みが強く、前日よりさらに腫れがひどくなっておりました。そこで、昼から排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)2包に変更し、夜にも同量を飲ませました。
すると、翌日の5月6日朝には、痛みや腫れもましになり、手も握れるようになりました。
さらに、5月7日朝には腫れが完全に引いて、痛みも全くなく、傷口もきれいになり、風呂にも両手を使って入れたそうです。昼から、排膿散及湯を1包に減らし、5月8日朝には、抗生剤等の西洋薬を使用せずに、完全に治癒しました(下の写真)。腫れがひどい時には、咬口がふさがっていましたが、写真をみると自然に破れて、排濃したのがわかると思います。

”動物による咬傷”の西洋医学的な治療はこちらをクリック

後から知りましたが、治療は結構大変なようです。いつもお世話になっているペットのトリマーさんが、犬に手を咬まれた時には、外科に1ヶ月間通院したといわれていました。

排膿散及湯については、こちらをクリック。この先生も書かれていますが、化膿した病変は本当に2、3日以内に排膿してくれます。もちろん抗生剤を使わずにです。お試しください。

713.小児虚弱の漢方治療

次の症例は11歳、女児です。
体重が増えない・風邪をよく引く・食が細いなどを訴え、平成30年6月4日漢方治療を求め来院されました。身長127.0cm、体重21.0kg(この年齢の平均は身長138cm、体重36kg)。小建中湯(しょうけんちゅうとう;症例26参照)))を一ヶ月分処方したところ、7月3日に来られ、おかあさんが、「今まで暑くても汗が出なかったのが、出るようになりました。朝、すっと起きれるようになり、朝食もしっかりとれるようになり、昼もおなかがすくようになりました。疲れるとキーキー言っていたのが言わなくなりました。」と大変喜んでいただきました。
7月31日に来られた時には、「どんどんよくなっています。便秘が改善し、今まで冷え症で、夏でも長袖だったのが、今年はノースリーブでいけます。」といわれました。
今後、身長・体重の動きを追わせていただきます。

漢方がお役に立ててよかったです。

(小児の虚弱体質については、症例26・29・109・145・190・192・321も参照して下さい)

714.手足のほてりの漢方治療

症例は34歳女性です。
手足が熱くて眠れない、睡眠導入剤を飲んでも眠れないとの訴えで、平成30年5月31日漢方治療を求めて姫路市から当院へ来院されました。
身長152.0cm、体重43kg、BMI18.6
この方の舌を診ると、色が赤っぽく乾燥し、特に舌先が紅くなっていました(舌尖紅潮;症例72、141参照)。
加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210参照))と、三物黄芩湯(さんもつおうごんとう;症例212))を合わせて1ヶ月分だしたところ、7月2日当院へ来られ、「手足はまだ少し熱いですが、ずいぶんましで、よく眠れるようになりました。」と、喜んでいただきました。

他院では原因はわからず、対症療法として睡眠導入剤が投与されていました。
「漢方で簡単に治るのに‥。」と、思った症例でした。

漢方がお役に立ててよかったです。症例212にも載せましたが、もう一度、下田 憲先生の三物黄芩湯についてのコメントを載せます。

三物黄芩湯について(下田 憲先生コメント)
独特な薬で他にあまり使えないです。生薬の苦参(くじん)は他にあまり使わない薬です。黄芩が苦参と生地黄を運びます。特に、苦参は皮膚の熱を冷ますような作用をもっています。そして、熟地黄は内分泌腺など腺の血行を改善する作用を持っていますが、生地黄は表面の熱を冷まします。
特徴的に手足のほてり、特に更年期女性に出てくる手足のほてりに非常に良く効く感じがあります
要するに、血(けつ)の流れが悪くなれば普通は冷えるんですが、なぜか手足がカサカサになって火照ってる女性は確かにいるんです。血虚、血瘀でなく、しいて言えば血燥というのですが、血が乾燥してしまう。
やはり血の流れの悪い所に何か熱を生み出すものがあって、手足に熱を生むみたいなんですが、これも病態はよくわかりません。更年期に似た状態を自分で経験できないためかもしれませんが‥。
三物黄芩湯の状態は、ほとんど更年期前後の御婦人しかない。どちらかといえば、桂枝茯苓丸を飲むようなタイプの御婦人なんですが、桂枝茯苓丸みたいな急迫症状は出さないで、ただ手足のほてりがあるだけで、体の芯も熱いことが多い。
体の芯が冷えてて手足が熱ければ温経湯なんかですね。通常は、手足が火照るだけでは来院されないんですが、手足が火照るために眠れないというぐらい強い症状になることがあるみたいなんですね。男性は経験できない症状と思うんですね。確かに手を触ると温かいんですが、本人が言うほど灼熱した感じではないんですよ。

中高年に多いほてり感・煩熱に効く漢方薬については、こちらをクリックひぐちクリニック

715.下痢型過敏性腸症候群の漢方治療

次の症例は53歳、男性です。
約30年前より、水様便だそうです。
それが、数年前から特にひどくなり、胃カメラや腹部MRI(便がたまっているといわれた)等の検査は異常なく、下痢型過敏性腸症候群と診断され、イリボー(遠心性神経のセロトニン5-HT3受容体に拮抗することによって下痢を改善し、求心性神経のセロトニン5-HT3受容体に拮抗することによって腹痛を改善する)を投与されましたが、全く無効だったそうです。
胸やけもありましたが、それはネキシウム(PPI)の投与で少しましになったそうです。
知人の紹介で、平成30年6月12日、漢方治療を求めたつの市から来院されました。
身長164cm、体重44kg、BMI16.4とやせを認めます。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、枝分かれしており、気虚+瘀血(おけつ)体質と診断いたしました。
腹診では腹直筋緊張(;症例279参照)を認めました。
他の症状として、だるい・吐き気・目がかすむ・耳が詰まる・口内炎ができやすい・腹がはる・腹が鳴る・疲れやすい・立ちくらみ・緊張性の振戦などがあります。
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう;症例41、78参照)大建中湯(だいけんちゅうとう;症例44、123、396、499、585、620、655参照)(2つ合わせて中建中湯といいます)を合わせて一ヶ月分処方したところ、7月9日に来られ、「薬を飲みだして、3日目から30年ぶりに普通便になりました。胸やけも、かかりつけ医からネキシウムをタケキャブに変えてもらい消失しました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

なおこの方は、小さい時、毎日のように鼻血(症例26参照)を出していたそうで、近くの漢方医に母親が連れて行ったそうですが、薬は出してもらえなかったそうです。その時に小建中湯(しょうけんちゅうとう;症例26)を出してもらって体質を改善していたら、大人になってこんなに苦しまなくて済んだのに、と思いました。

716.痒疹の漢方治療

次の症例は42歳、女性です。
2年前に出産してから(産後6kg体重が増えたそうです)、下腿と上腕中心に多発する赤みの強い丘疹(夕方から夜間にかけて痒みが増強)があり、加古川市の総合病院皮膚科で痒疹(ようしん)と診断され、ステロイドの軟膏や患部に紫外線をあてる光線療法(PUVA(プーバ)、ナローバンドUVBなど)で治療されてきたそうですが改善しないため、平成30年6月13日、宍粟市からホームページをみて当院へ来院されました。
身長156cm、体重53kg、BMI21.8。
他の症状として、便秘気味・口の中が渇く・舌が荒れる・爪がもろい・皮膚がカサカサする・手足の冷え・足がむくむ・眠りが浅いなどがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、枝分かれしており、気虚+瘀血(おけつ)体質と診断いたしました。

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう);症例107、165、305、306、323、329参照)桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん;症例67参照)を合わせて一ヶ月分処方しました。
7月13日には、「赤みも引いて、痒みもなく、跡形だけになりました(下写真)。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

痒疹については、症例165、332も参照下さい。

痒疹については、こちらをクリック 日本皮膚科学会

717.眠くてしようがない(嗜眠)の漢方治療

次の症例は56歳、女性です。
2年前から、日中も眠気が強くて仕方ないため、平成30年3月14日、たつの市から当院へ来院されました。
身長161cm、体重64kg、BMI24.7。
他の症状として、下痢しやすい・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・鼻水・足がむくむ・汗をかきやすい・耳鳴り・口の中が渇く・頭痛・肩こり・手足が荒れるなどがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、枝分かれしており、気虚+瘀血(おけつ)体質と診断いたしました。
酸棗仁湯(さんそうにんとう;症例623参照)と六君子湯(りっくんしとう;症例97参照))を合わせて処方したところ、4月11日には、「眠気は少しましです。下痢は治りました。」といわれました。コウジン末(;症例449参照)を追加し、7月4日には、「まだ少し眠気はありますが、体が元気になってきています。コウジン末があっていると思います。」といわれました。8月3日には、「眠気はとれました。もう少し続けたいと思います。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

酸棗仁湯について(下田 憲先生コメント)
漢方薬に睡眠薬はありません。強いていいえば、睡眠作用に近いものに遠志や木香がある程度です。不眠の時に何を飲みますかというと、教科書の筆頭に出てくるのが酸棗仁湯なのです。でもこの薬の中にはそういう成分が全然入っていないのです。これは何なのかというと、眠るのは五臓の”心”が眠るのです。嗜眠(傾眠とほとんど同義で、睡眠に陥ろうとする傾向が強いもの)は間違いなく”心”の障害です。”心”の治療をして元気になって来るとだんだん眠らなくなってきますというか、正常な眠りになります。逆にいえば、”心”が一つのリズムを持っていて、昼は起きていて夜は眠むるというのが正常です。眠むるというのは”心”が休むことです。”心”は本来自分のリズムを持っていて、条件が整えば眠るのです。だから不眠というのは条件を整わせないのが原因になります。

なお、最初に不眠にも嗜眠のものにも酸棗仁湯を適用するといったのは、吉益東洞です。

718.夏バテの漢方治療

症例は80歳女性です。
高血圧症で通院中の患者さんです。
平成30年7月20日に、「夏バテで、下痢が続き、体がだるくて食事もとれません。」と来院時にいわれました。
身長147cm、体重42.4kg、BMI19.4。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また、両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
清暑益気湯(せいしょえっきとう;症例397、587参照)を19日分処方させていただいたところ、8月6日に来られ、「とても調子いいです。暑い間続けようと思います。」と大変喜んでいただきました。
漢方がお役に立ててよかったです。

清暑益気湯は、名前が示すように暑気を清め、気を益す働きがあります。
夏になり食が細くなって水っぽいものを欲しがり、手足がだるく足の裏が火照る、時に下痢したり大便がゆるくなる人に適しています。

清暑益気湯について(下田 憲先生コメント)
ちょっと暑くなっただけで、普通の人は大丈夫なのに、真っ先に倒れるような人に使います。普通の人はあまり夏負けしませんが、夏負けをするのはほとんど五臓の脾や肺の弱い人です。基礎疾患が基本的にない人は清暑益気湯ですが、脾や肺の弱い人は基礎疾患が常にあることも多いのです。基礎疾患があって治療している人が夏負けや夏やせ状態、あるいは夏風邪を引いたときには、清暑益気湯より補中益気湯になります。

719.過敏性腸症候群(下痢型)の漢方治療

次の症例は14歳、男性です。
身長153cm、体重42kg。
以前より1年を通して1日2回くらの下痢(とくに4~6月にかけては腹痛もひどい)が起こるため、知人の紹介で、平成30年6月4日漢方治療を求めて太子町から来院されました。
舌は特に異常は認めませんでしたが、腹診で、腹直筋も張って、中脘(症例186参照)に圧痛を認めましたので、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう;症例39、66、152、155、186参照)を処方したところ、7月6日に来られ、「腹痛も下痢も治まりました。」と、いわれました。学校まで約2kmあるそうですが、その間ももたなかったので、本当によくなりましたと喜んでいただきました。

本症例は過敏性腸症候群(下痢型)と診断してよいと考えます。

漢方がお役に立ててよかったです。

720.酒皶(しゅさ)様皮膚炎の漢方治療

症例は54歳、女性です。
平成30年5月4日から、両頬・おでこにニキビ様のぶつぶつが出現、5月23日、近所の皮膚科でゼビアックスローション(抗菌作用をもつにきびの薬)、ロコイドクリーム(ステロイド)、ルリッド(マクロライド系抗生剤)を2週間分処方されました。しかし、2週間後症状はさらに悪化(ぶつぶつがさらに増え、痒みが強く、顔が赤く腫れあがった)ため、6月8日同じ皮膚科を再受診したところ、今度は酒皶(しゅさ)様皮膚炎と診断され、フラジール(メトロニダゾール)膣錠0.8錠とプロピレングリコール0.6mlと親水クリーム18.64gを混合したものと、タリオン(抗アレルギー薬)とルリッドをさらに2週間分処方されましたが改善しないため、ネットで漢方薬がよく効くとの情報を得て、6月12日当院を受診されました。大きなマスクをして、大きなつばのある帽子を目深にかぶって顔をかくして診察室に入ってこられました。今でこそ言えますが、本当に気の毒で、漢方で治せるのだろかと真剣に考えたくらいひどかったです。
その他の症状として、便秘(5から6日に1回)があります。
身長163.0cm、体重49kg、BMI18.4。
この方の舌を見ると、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
通導散(つうどうさん;症例499参照)十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう);症例107、165、305、306、323、329参照)と寝る前に黄連解毒湯を合わせて2週間分処方したところ、6月25日に来られ、「朝起きたときは、赤みが引くようになりました。」といわれました。今度は一ヶ月分処方したところ、7月25日に来られ、赤みが引き、きれいな顔になっておられ、「こんなにきれいに治るなら、最初に顔の写真とってもらっておけばよかったですね。」と笑顔で話されました。8月24日には、診察室に入って来るなり(もちろんマスクも帽子もせずに)、「先生、顔ツルツルです。」と頬をなでながら笑顔で入ってこられました。また、「今まで顔に汗をかかなかったのに、普通に汗をかくようになりました。便秘は治っています。朝起きがけや、風呂に入ったり、食事をしたりするときに少し顔の皮膚が赤くなるぐらいです。」と話されました。

漢方がお役に立ててよかったです。

酒皶(しゅさ)については、症例605、632、651も参照下さい。

酒皶様皮膚炎について
慢性的に顏の赤みやニキビ様のぶつぶつを伴うことの多い主に顏の皮膚疾患です。原因がさまざまであるうえに、基礎疾患の有無の違い、体質的な素因を伴う場合のある病気であることなどから、治療法が確定しておらず難治性です。
酒さ・酒さ様皮膚炎については、西洋医学的な治療については私は専門ではありませんので、こちらを参照下さい
はなふさ皮膚科
漢方的には、お血が病態の中心と考えられます。
また、酒さ様皮膚炎の患者さんが自分の顔写真を載せて辛い気持ちをブログに書いておられます。参考にしてください。クリック
当院の症例もまさしく同じような状態でした。
このような方が一日も早く漢方治療を受けられるよう願っております。

721.”漢方が効く人は幸せです”がわかる症例

症例は68歳、女性です。
元々、平成14年から、高コレステロール血症・高血圧症・12指腸潰瘍・気管支喘息などで当院に通院されている患者さんです。身長159.0cm、体重62kg、BMI24.5。
平成29年9月29日に来られた時に、「先生、ぎっくり腰になり、つらいんです。」といわれましたので、「漢方なら簡単になおりますが‥。」と答えたら、「飲んでみます。」との返事でしたので、麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を合わせて処方(症例455参照)したところ、1日で治り、漢方薬に目覚められました。
11月29日には、「先生、肩こりが最近ひどいんです。なんとかなりませんか。」ときかれましたので、葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう;症例12参照)を処方したところ、12月9日に来られ、「先生、飲んですぐによくなりました。」といわれ、今度は、「私体力がないので、何か元気になる漢方はありますか?」といわれましたので、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を処方しました(これは現在もずっと飲まれています)。次に、平成30年3月28日に来られた時に、「先生、最近膝が痛むんです。これも漢方でいけますか?」といわれましたので、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)に、薏苡仁湯(よくいにんとう)を合わせて処方した(症例598参照)ところ、4月27日に来られ、「すぐに痛みは改善しましたが、また最近痛むようになりました。」といわれましたので、しばらく続けていただいたところ、6月1日に来られたときに、「完全に膝は治りました。」といわれましたが、今度は耳鳴りがするとのことでしたので、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)を処方した(症例34参照)ところ、7月27日に来られ、「すぐに耳鳴りが消えました。」といわれました。そして、この時に、「いつも頻繁にかぜを引いていたのに、補中益気湯を飲みだしてから全く引いていません。」といわれました。漢方が効く人は幸せです。
この方は今では漢方の大ファンになり、お孫さんも紹介して頂いております。

漢方がお役に立ててよかったです。

722.夜泣きの漢方治療

症例は2歳3ヶ月、女児です。
この方のおばあちゃんが当院通院中です。
夜泣きが激しく、平成30年8月4日、漢方治療を求めて姫路市から来院されました。
抑肝散(よくかんさん;症例24、25、144、479参照)を1袋寝る前に処方したところ、8月21日におばあちゃんが来られ、「飲み始めたその日から夜泣きがなくなりました。家族みんなの大迷惑になっていたので、本当に助かりました。」と感謝されました。
たったこれだけのことですが、私が興味をもったのは、漢方の即効性と、たかが夜泣きですが、その家族にとっては、本当に大問題であるという2点です。
同じような症例を、症例144、479にも載せております。

漢方がお役に立ててよかったです。

723. 起立性調節障害の漢方治療

症例は10歳9ヶ月、女児です。
平成30年4月16日、近医で、採血時(身長が低いため、成長ホルモン値を調べるため)に、脳貧血を起こし、頭部を打撲したそうです。そのショックから朝が起きられなくなり、起立性調節障害と体位性頻脈症候群と診断されました。たまに頭痛もするそうです。平成30年6月14日、姫路市から当院へ来院されました。
身長130cm、体重28kg(この年齢の平均身長は142cm)。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
六君子湯(りっくんしとう;症例97参照)苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう;症例20参照)を合わせて一ヶ月分処方したところ、7月24日に来られ、お母さんが、「絶好調です。朝早くから起きれるようになりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

724. 乳児湿疹の漢方治療

症例は0歳2ヶ月、男児です。2835グラムで生まれ、母乳で育てられています。
平成30年6月15日、顔や体に湿疹が多発し、皮膚科に行っても治らないと、漢方治療を求めて来院されました。治頭瘡一方(ちづそういっぽう)1包を、1日2回に分けて飲んでいただき、塗り薬として紫雲膏(しうんこう)を処方したところ、7月9日に来られ、「きれいになりました。」といわれましたので、さらに同じ処方を念のため1カ月分処方しました。
ところが、9月22日にまた来られ、「飲まないとまた出てきました。」といわれましたので、また同じ薬を処方させていただきました。

漢方がお役に立ててよかったです。

治頭瘡一方については、こちらを参照ください クリック

725.ムカデ咬症の漢方治療

次の症例は、私の家内です。
平成30年10月6日、夜8時頃、風呂からあがり、スリッパを履いたところ、中にムカデが潜んでいたらしく、右足の親指先端を咬まれ(ムカデが飛びつき、刺された!と思われている方がとても多いのですが、鋭いアゴで噛みつくため、正確には「ムカデに咬まれた」というのが正解だそうです)てしまいました。今回のムカデは過去最大サイズの五寸ムカデでした。
本人の話によると、針が爪の間に刺さったような激しい痛みだそうです。
症例448と同じく柴苓湯(さいれいとう)1包と昔からまむし咬症に使うとされる、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を2包飲ませました。30分後にまた1包ずつ飲ませ、さらにもう一度30分後に同量を飲ませました。
3時間で全く痛みは消失しました。2時間後くらいに両足にほろせが出て痒みを認めましたが、それもすぐに引きました。結局、紅斑、腫脹も残らずに済みました。

症例448のように中サイズのムカデでしたら1時間で治りましたが、五寸ムカデの場合、3時間かかることがわかりました(しかし、西洋医学的な治療では数日以上はかかると思います)。

ムカデについては、こちらに詳しく書いてありましたので参照下さい(熊本シロアリ駆除.com)

こちらをクリック

なお、この記事で初めて知りましたが、ムカデはつがいでいるというのは嘘だそうです。ずっと信じていたのでトリビアでした。