頭痛については、こちらをクリック画像の説明女性のための漢方ノート

反復性・慢性の頭痛は、外から侵入した病因物質(「風・寒・熱・湿(痰)といった邪」)によって頭部の活動が妨げられたり、五臓の機能がおとろえ、全身の活動に必要な基本物質(「精・気・血・水」)が不足することによって、頭が十分に滋養(じよう)されなくなるために起こります。 いろいろなタイプの頭痛があり、それぞれ使う方剤が異なります。

  • 気虚(ききょ)頭痛 疲れたときに頭痛が強くなります。過労によって、胃腸が弱くなり、食物や体の気血(きけつ)の栄養が頭部に行き届かなくなり、頭痛がおこります。息切れや倦怠感、食欲不振、下痢、軟便、便秘なども伴います。 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などで 胃腸を強くして、体力をつけて治します。
  • 血虚(けっきょ)頭痛 めまいがして、頭がふらつくことの多い頭痛です。 顔色が悪い(顔面蒼白)、動悸、不眠などの症状があり、女性では月経前後におこることもあります。生理の後半には、生理により血液が不足するために、血虚の頭痛が おこりやすいです。 生理前半の頭痛、月経前症候群(PMS)の頭痛は、血虚頭痛にプラスして、気滞頭痛が加わっていることが多いです。 四物湯(しもつとう)、十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)などで、身体の増血機能を強くすることで解消していきます。
  • 腎虚(じんきょ)頭痛 痛みは強くないが、慢性化する頭痛です。 めまい、耳鳴り、手足が冷える、足腰がだるい、力が入らない、物忘れなどの症状を伴います。一般には、年配の方の老化現象に多くみられます。 六味丸(ろくみがん)、八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などを証にあわせて用います。
  • 気滞(きたい)頭痛 ストレスが原因となります。週末のほっとしたときに、頭痛が起こることもあります。気滞頭痛は 緊張型頭痛や、女性の人では、月経前症候群(PMS)を伴う頭痛などが知られています。イライラしたり、ため息をつくことが多いです。 「ストレスを緩和する漢方薬」や加味逍遥散(かみしょうようさん)などを服用して、ストレスを解消していきます。 排卵時の不調や生理前の不調(PMS)にも、これらの方剤は有効です。
  • 肝火(かんか)頭痛 片頭痛や、高血圧の人に多い頭痛です。熱感、赤ら顔、目の充血、口が苦い、口渇、難聴、便秘などの症状を伴います。 気滞で、ストレスが長期間溜まってしまい、うまくストレスを解消できないと、気がこもってしまい、「熱」に変わってしまうのです。肝火頭痛は、したがって気滞頭痛の要因も含みますので、イライラしやすかったり、貧乏ゆすりをしたり、怒りっぽい人に多いです。わりと男性の短気な人に見られやすいです。 釣藤散などを用いて、体の興奮状態を抑えます。
  • 痰濁(たんだく)頭痛 水分のめぐりが悪く、頭が重く痛むものをいいます。頭痛は、しつこく長引くことがあります。めまい、胸がムカムカして悪心、嘔吐なども見られ、舌の苔は厚くなります。 胃腸が弱い人や、水分の取りすぎによることが多く、雨の日や低気圧前線にも左右されやすいです。 半夏白朮天麻湯、五苓散、呉茱萸湯などを用いて、水分の代謝を改善して治します。
  • 瘀血(おけつ)頭痛 血液がドロドロしていて、血行不良となり、瘀血の症状が特徴です。肩こりを伴う緊張型頭痛に多く見られやすいです。痛みは固定痛で刺されたように激しいときもあります。 桂枝茯苓丸などで、血液をサラサラにして 血流を改善します。

     

頭痛の漢方治療については、

当院の漢方著効例 の症例21、22
当院の漢方著効例2 の症例60、92
当院の漢方著効例3 の症例101、115、119、139、150
当院の漢方著効例4 の症例156、169、186(小児例、腹痛合併例)、195、196
当院の漢方著効例5 の症例213、229、230、239、246
当院の漢方著効例6 の症例274、291、293
当院の漢方著効例7 の症例304(小児例)、317、330
当院の漢方著効例8 の症例364、381、388、390、400
当院の漢方著効例9 の症例450
当院の漢方著効例10 の症例459、478
当院の漢方著効例11 の症例505、513
当院の漢方著効例12 の症例576
当院の漢方著効例13 の症例611、619(小児例)、624(小児例)、628、641
当院の漢方著効例14 の症例680(小児例)
当院の漢方著効例15 の症例703(小児例)、734

を参照して下さい。